歯のエイジングケア通信〜対談篇VOL.4
間違ったケアが歯茎を傷める要因に!?
【歯茎の健康は形やハリ、色をチェック】
医療法人社団 千寿会 理事長 本間 輝章×P.G.C.D.代表 野田 泰平[VOL.4]
歯と歯茎の健康について、医療法人社団 千寿会 理事長 本間 輝章先生をお呼びしてお伺いしていきます。今回は、特に歯茎の健康の見分け方や、正しいケアをご紹介。強く磨きすぎたり、しっかりと歯間ブラシをしたりすることで、実は歯茎の健康を損ねている可能性も……。改めて、ケアの方法を見直してみてください。
■対談参加者プロフィール
医療法人社団 千寿会 理事長
本間 輝章
医療法人社団 本間歯科 新松戸総合歯科診療所副院長
国際口腔インプラント学会ICOI日本大使
元米国ニューヨーク大学ペリオ・インプラント科臨床指導医
株式会社 ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン
代表取締役CEO
野田 泰平
1979年福岡県生まれ。2010年に株式会社P.G.C.D. JAPANを設立。「年齢を美しさに変える人」を増やすため、スキンケア・スカルプケアの商品を開発、販売。また、2019年にはホールディングス会社である株式会社JBI GROUPを設立。企業理念『Pay forward』を掲げ、“世界を幸せにする人を増やす”という使命のもと、サスティナブルな商品、サスティナブルな事業を創造し、社会と未来に貢献する。
歯ブラシや磨く強さ、時間などに注意を
野田:
前回は、強く磨いたり、電動歯ブラシに手磨きも加えたりすると歯茎が後退していくというお話がありました。歯茎の美しさを保つために、他にもNGな行為があれば教えていただきたいです。
本間:
まず、歯ブラシはひと月に1回買い替えたほうがいい、と言われています。でも、毎月買い替えている人はほとんどいない。当院では、年初に12本買って、ひと月ごとに捨てていくようにしていただいています。
野田:
ブラシの毛先が開いてしまうと、毛の側面で磨いているようなものですよね。
本間:
歯の表面の汚れは、歯ブラシがある程度通過していれば取れます。一番磨いてほしいのは歯と歯の間と、歯と歯茎の間。そこに毛が入るようにしてもらいたいのに、開いていると毛先が入りようがない。
野田:
毛先が開いていたら、磨いているというよりもこすっているだけですよね。歯茎がめくれている写真のように、歯茎を傷めつけるだけになってしまいます。
本間:
特に子どもは、歯みがきをしている最中にガシガシと噛むことがあり、1~2週間で開いてしまう。買い換えるのがもったいないからと、硬いタイプを買う方がいます。また、「この子は歯みがきをさせてくれない」なんておっしゃる親御さんは、たいてい磨く力が強すぎる。どちらにしても、子どもは大人が考えるより優しく磨いてもらいたいです。
歯茎も皮膚と同じで、大人よりもすごく柔らかい。硬い歯ブラシや、大人同様の力でゴシゴシ磨いたらすごく痛いはずです。
野田:
確かにそうですね。
本間:
やわらかい毛を使うのはもちろん、力の入れ具合の目安として、歯の表面に当たって先端がほんのちょっと曲がる程度にします。歯茎は軟組織といって、とても繊細なので、とにかく優しくケアしてください。
大人も子どもも、口の中は簡単に傷ついてしまうので、自分ではきれいにしているつもりでも、歯茎にダメージを与えている可能性があります。
野田:
強い力に加えて、歯磨き粉に入っている研磨剤も歯や歯茎を削ってしまう。歯の健康を考えているつもりが、逆に傷めているかもしれないなんて、怖いですね。
本間:
また、歯みがきの時間が長いのも問題です。10分や15分くらい磨いている方がいますが、長すぎます。
テレビやケータイを見ながらだらだらと磨いていると、一か所だけをずっと磨いている、という事態になりかねない。癖もあるので完全に均等にするのは難しいもですが、歯ミガキをしている間くらいは、自分が磨いている箇所や、歯科医に「よく磨けていない」と言われた場所に気を付けるなど、集中してもらいたいです。
歯間ブラシが歯茎を押し下げている場合も
野田:
歯と歯の間の歯茎がV字になっているのが健康の印だというお話がありましたが、その隙間を磨く歯間ブラシの使い方にも注意点があるんですよね。
本間:
歯間ブラシが登場する前は、木製の楊枝を使っていましたから、それほど強い力がかかることはありませんでした。でも、最近はワイヤーに毛が付いたタイプがあります。歯と歯の間に合ったサイズを使っている分には問題ありませんが、歯間ブラシを通して歯茎に当たっている感覚があるとオーバーサイズと言えるでしょう。
歯と歯の間の汚れが取れればいいので、歯茎を磨いているわけではありません。歯に当たったまま続けていると、歯茎の感覚もなくなってきて隙間が大きくなる場合がある。歯間ブラシは、歯茎をV字にするどころか、傷めつけて凹ませる要因になり得るんです。
一番は、デンタルフロスを通していただくのがいい。歯ブラシだけで取れない歯と歯の間の詰まりを、糸を通して汚れをスッと取る。そのつもりでていねいに取っていただけるとよいと思います。
歯間ブラシを使いすぎて歯の隙間が空いてしまった場合でも、その後に歯間ブラシを使わず優しくケアしていると、歯茎は戻ってきます。
野田:
僕がこの状態だったら、気持ちがいいくらい歯間ブラシを使ってしまいそうです。でもそうしたら、もっと後退していくんですね。
本間:
そうですね。これくらいであれば、2週間ほど歯ブラシだけにすれば埋まってきます。
野田:
歯間ブラシが気持ちのいいものだと思っている方は、用途が違うかもしれませんね。
本間:
歯間の歯茎をマッサージしたい、というかたは、中にワイヤーが入っていない、ゴムやラバー製の傷つきにくいものを選んでください。
野田:
今回は歯茎のお話でした。皆さんが使っていらっしゃるトリアイナには、TOOTH ENERGIZERの後に使っていただくAFTER ENERGIZERという商品があり、植物性のコラーゲンがたっぷり入っています。健康的な歯茎になるのを促し、助ける働きがあります。
虫歯はいろいろな病気の基になるとも言われています。歯を健康に保つには、土台となる歯茎が大切です。5年後、健康になるために歯茎をていねいにケアしていきましょう。間違ったケアでは後退してしまう可能性もあるので、正しいケアを身に付けてください。