アーティスト 藤本 純輝氏「平面で表現しきれない花の美しさを、削ったキャンバスで立体的に表現」
現代アートを展示するJBIG meets art galleryで、2月に展示するのはアーティスト藤本純輝さんの作品です。今回、P.G.C.D.のソープの包み紙もデザインしてくださった藤本さん。アーティストとしての素顔をインタビューさせていただきました。
絵を描くようになったのは、水彩画が好きだった祖父の影響
――絵を描くようになったきっかけや、その後の経歴を教えていただけますか。
祖父が水彩画を趣味としていたので、私も祖父にくっついて幼少期から絵を描いていました。物心ついたときには、日常的に絵を描くようになっていました。
絵を描くことがとても好きだったので、大学もアートを専攻しようと考え、京都造形芸術大学へ。絵画科は日本画と油画に大きく分かれており、僕は油画を専攻して、大学院まで進みました。
大学院修了後は、アーティストとして活動し、現在27歳になります。
――日常的には、どのようなスケジュールで制作されているのですか。
朝起きて、「今日はこんな絵が描きたい」と思ったら描き始めますし、あるいは「絵を描くために風景を見たい」「自然に触れたい」と思ったらそのために出かけます。決まったスケジュールは全くありません。
やることが決まっていないと不安になる方もいるかもしれませんが、僕はその方が合っています。何かひとつの仕事に捕われ、それにかかりきりになるのがとても苦手なんです。それでアーティストになりたいと考えた部分もあり、自分で好きなように、やることを決めて動けるのが自分に合っています。
花の立体的な美しさを表現するため、布を削る
――藤本さんの作品のテーマはありますか。
お花畑や、庭の景色を描き出したいという思いで描いています。見た人がまるで自然の中に行き、光を浴びて風を感じるような絵を描きたいと思っています。
僕は布を削って花を描いています。それは、花を描いたときに、キャンバスの上に絵の具で描いただけでは、どうしても平面的な花になってしまうから。どれだけ精巧に描いても、本物の花を見て、感じたときのような美しさを表現しきれなかったのがきっかけです。
花の美しさを表現するために、いろいろと工夫を凝らしました。僕の想いとしては、花が優しい光に包まれて、風がそよいでいるような、動く空気の中にある状態を作りたい。布を削って抜き出し立体的にすれば、花弁や葉に光が当たって影が落ち、花の本来の美しさを絵の中に存在させられると感じられたんです。
布は、通常のキャンバスではなく、服などにも使われる手芸用の薄いリネンを使っています。布のきめ細かい部分に光の粒や空気が通っていく感覚があり、絵が光に包まれ、光を発しているようにも感じられます。
薄いリネンを使うようになったのは、僕が過去の作品で細かな点を描く絵を描いていたころに遡ります。細かい点を描く際、普通のキャンバスでは目が粗く、思った通り表現しきれません。絵の表面に気を配るには、キャンバスそのものにも気を配らなくてはいけないと思い、薄い布を選ぶようになったんです。
花は、日々手入れをするからこそ美しく咲く
――今回展示する作品やソープの包み紙は、どのような思いで選定、制作してくださったのでしょうか。
花は、日々手入れをするからこそ美しくなると考えています。水をやり、余計な雑草を取り除き、ていねいに接しないと美しく咲いてくれない。花に対するそういった慈しみは、お肌のためを思って日々ていねいに石鹸を泡立てる時間と同じようなものを感じます。
包み紙は、ていねいな時間を紡ぐ石鹸にふさわしいよう、自分の作品をデザインしました。また、今回の展覧会では、花瓶に生けた花と、その花が咲いていた庭の景色を描いています。
――JBIG meets art galleryに出展する作品について教えていただけますか。また、見てくださる方へのメッセージをお願いします。
やわらかで暖かく、穏やかな空気と時間を作り出してくれる作品をイメージしているので、この場所でそのような空気と時間を体感していただければ嬉しいです。
今回は、淡いグリーンが特徴となる作品を集めました。JBIG meets art galleryの空間やコンセプトと、僕の考えが一致した作品たちです。ぜひこの場所に来ていただいて、作品たちの姿を見てください。
執筆:栃尾江美
最後に、制作に関するお話をお伺いしました
――自身の作品について
森をさわさわと吹く風や、やわらかな太陽光に包まれた草花の咲く草原の気配や感触を描き、植物や花をとりまく光・空気の情景を有した絵画を描き出しています。
絵(アート、作品、表現)は、ここでないどこか違う世界へ鑑賞者を連れていってくれるものだと考えています。
作品の中には、この世界や社会の醜い部分や問題を見える形に変換し、我々人間へ問いかける性質を持っているものもあり、時として目を背けたくなるものや受け入れがたいものもあるでしょう。
しかし私は、絵は、現実の厳しい世界から逃避できる救いのような性質を持ち合わせているのではないかと思っています。
負のエネルギー、正のエネルギー、どちらにしても鑑賞者の目や思考、心を、表現者の作り出す思考や表現の世界で浸食することが我々表現者の使命であると考えていて、私の作品からは、ほっとしたり、ゆったりとした心地の良い時間の流れる鑑賞体験を生み出したいと思いながら制作活動をしています。
――どんな画材を使い、どのように繊細な色を表現しているのか
絵具は主に油絵具を使用していて、色の種類は、5〜8個ほどで、赤や青など基本的な色をその都度混ぜて色を作っています。
画面と向き合う中で、ここにはこういう色が欲しいな、ここはこれくらいの強さの色にしたいな、など、画面にとってその都度必要な色をつくり、描く。
色づくりはかなり感覚的で、分量などは細かく決めていないので、その時その時で少しづつ色が変わるので、絵の表情も変化しています。
――制作にはどれくらいの時間を要するか
一枚の絵を描くのに必要な時間は、大小大差なくだいたい 1 週間くらい。その半分が絵の下地づくりで、下地材の塗布や布の張り込みと乾燥も入れて3〜4日ほどかかります。
描く時は画面をみている時間の方が長くて、どこに筆を入れるか、どこに
どんな色や質感が必要かを注意深く探り、繰り返し筆を入れます。
これは感覚的ですが、もう手を入れるところがないな、となれば完成。
画面にたくさん余白が余ってるじゃないかと言われてしまいそうでが、余白は情景や景色の体感を促すために必要な空間で、余白と描かれている部分のバランスが大切だと思っています。
個展・イベントのご案内
「庭と花瓶」
Respect the Artist
藤本 純輝 Atsuki Fujimoto
森のざわざわや抜けていく風、草花をやさしく包む淡い陽光や空気の感触・気配を描き、場の持つ特性と作品を掛け合わせることで、展示空間に森のようなお花畑のような景色を作り出そうとしている。
景色の持つ感触や気配を描き出すため、モチーフの持つ固有の性質や情景と、絵肌の質感や素材感とを互いに補完しあえるようにその都度選択・手入れを重ねる。
やわらかでキメの細やかな布を重ねたり、削り剥き出すことで浮かび上がる花や空気の様相は、花や花をとりまく光・空気のたしかな気配を創出する。
2024年2月5日(月)〜3月31日(日)
JBIG meets Art gallery
107-0062 東京都港区南青山 7-4-2 アトリウム青山
TEL: 080-5333-5238 pgcdkanri@pgcd.jp
開館時間 13:00〜17:00 不定休【完全予約制・入場無料】
【ご予約はこちらから】
http://jbig-meets-art-gallery-artist.square.site
Event
オープニング 作家在廊
2月4日(日) 17:00-19:00 ※予約不要
18:00~ 作家によるギャラリートーク
トークセッション ※要予約
2月21日(水) 18:00~ 対談者 藤本 純輝 野田泰平
【ご応募はこちらから】
https://forms.gle/3tU5GUzp689rGsow9
ワークショップ 講師:藤本 純輝 ※要予約
3月10日(日)
午前の部 11:00-13:30 / 午後の部 15:00-17:30
【ご応募はこちらから】
https://forms.gle/i8sphkF3yjcJmmqR6
藤本さんのアートがご自宅に届きます
今回、藤本さんにはP.G.C.D.のソープ3種類の包み紙をデザインしていただきました。
・朝用スキンケアソープ「サボン クレール」
・夜用スキンケアソープ「サボン フォンセ」
・スカルプケアソープ「サボン モーヴ」
2月6日(火)より始まるキャンペーン「季節便25」をご購入の方には、このデザインパッケージでお届けします。
なくなり次第終了となりますので、ぜひお見逃しなく!
「季節便25」のお申込みはこちらから!
P.G.C.D.公式サイトはこちら▼