“壊れてしまったもの”の大切な思い出と時間をシルクと絹糸で縫い留める、アートと素敵な時間。
Respect the Artist 竹村 京
アートワークショップ「壊れたときのまえとあと」
【アフターレポート】
P.G.C.D.では、2022年7月16日(土)より9月30日(金)まで、南青山の本社に併設するギャラリースペースにて、現代アーティスト竹村 京氏による展覧会「白の時間」を開催いたしました。
初めての展覧会を記念して、2022年8月6日(土)・8月27日(土)に、竹村 京氏による参加型アートワークショップ「壊れたときのまえとあと」を開催。
実際にアーティストの方にお会いして、作品に囲まれながら、自分の大切なものや思い出に寄り添いながら作品にしていく。
そんな素敵な時間を皆様にご紹介します。
【8月6日(土)午前の部 アートワークショップ】
8月6日(土)午前の部は、夏休みの体験として親子でご参加いただいたお客様もいて、和気あいあいとしたアットホームな雰囲気となりました。
参加者の方々が持ってきてくださった大切なものは、割れてしまった綺麗な貝殻やお父さんの大事なコレクションのお面、壊れてしまったスマートフォンや、お付き合いしている彼が大事にしている蓮華。
まずは、選んだ色紙に壊れたものの思い出やエピソードを文字や絵で思い思いに書き出していきました。髪の色もどんな色のペンで書くかも自分の直感で選びます。
書き終えたら、持ってきたものに対する想いや壊れたときの様子を一人ずつ皆様に紹介しました。
そして、ここからが本番です。
シルクの布に包んで、絹糸で縫い止め修復していきます。
シルクの布は白の色合いや柔らかさなど何種類もありました。また、絹糸も色の種類だけではなく太さも違うものを竹村氏がたくさん用意してくださいました。
ご参加いただいた方は直感で選んだり、じっくりと組み合わせながら悩んだり、周りの方と話しながらも集中して制作をしていらっしゃいました。
小学1年生のお姉ちゃんは糸通しや針の扱いのサポートを受けながらも、殆どを自分で作り上げていました!竹村氏も周りの方も褒めるくらい、絹糸の色のセンスも抜群。
出来上がった後は、自分の作品や他の人の作品をじーっと見つめてとても嬉しそうにしたり、写真をたくさん撮ったりしていました。
夏休みの宿題として、何か作品を作るものがあったので、「今日素敵な作品ができて良かった!」とお母さんと嬉しそうにお話されていました。
幼稚園に通っている弟くんは1人での作業はまだ難しいですが、お母さんと一緒に布にくるんだり縫ったりの作業を体験しました。糸を縫う位置をすごくこだわって、お母さんと一緒に針を刺す時は真剣に。
他の参加者の皆様やスタッフともたくさん絡んで、作品作りもワークショップの空間もとても楽しそうに過ごされていました。迎えにいらっしゃったお父さんにも嬉しそうに作品を見せられていたのが印象的でした。
そして、竹村氏の教え子の方も2名ご参加いただきました。
シルクの布と絹糸を真剣に選ぶ姿も素敵でしたが、何より修復するときの発想力の豊かさが素晴らしかったです。
ただ、縫うだけではなく、お花を咲かせてみたり、引っ掛けて結んだり、折れてしまったものがつながっているかのように見せたり。
修復するだけではなく、そこにさらにアートが重なったような素敵な作品が完成しました。竹村氏からも「流石だね!発想力がすごく良いね」とのコメントも。
最後に並べて作品の写真を撮影しましたが、本当に一人ひとりの想いがこもった素敵な作品となりました。
【8月6日(土)午後の部 アートワークショップ】
8月6日(土)午前の部は、長年P.G.C.D.の商品をご愛用いただいているお客様とP.G.C.D.社員が参加して、午前の部と打って変わって落ち着いた雰囲気でのワークショップとなりました。
お客様が持ってこられたのは、25年前にご友人から新婚旅行のお土産として受け取られたイタリアのお皿。
気に入ってリビングにずっと飾ってあって、もう家族にとっては、そこにあるのが当たり前の、空気みたいな存在になっていたお皿でした。
ある日、その大事なお皿を割ってしまい、ショックを受けていた所に、お嬢様から「割れてしまったけど、別の形で残したらいいんじゃない」という言葉をかけてもらい、ご自身よりも発想力豊かなお嬢様に、「どう残したらいいか考えて!」と託したものの、お嬢様も忙しく、数年間そのままになってしまっていました。もうこのままかな…と思っていたところに、P.G.C.D.からワークショップの案内が届き、今回ご参加していだけることになりました。
お嬢様にも、こんなイベントがあるから行ってみるね、と伝えて参加されたとのこと。自分にできるかしらとちょっとドキドキしていらっしゃいました。
作品は、割れたお皿をシルクの布でくるんだ後、家族四人の一人一人のカラーを想い浮かべながら4色の糸を選ばれました。そして、一針一針、丁寧に真剣に縫われる姿が印象的でした。
そして、作品が完成したとき、「こんなに素敵に生まれ変わりました!」と嬉しそうな笑顔がとても素敵でした。
後日、ご参加の御礼のご連絡をした際には、「家族もすごく喜んでくれて、今はどこにどうやって飾ろうか考えています」とおっしゃっていただき、すごく幸せな気持ちになりました。
【8月27日(土)アートワークショップ】
8月27日(土)は、長年P.G.C.D.の商品をご愛用いただいているお客様と、親子でご参加いただいたお客様、竹村さんのファンでアートワークショップにお申し込みいただいたお客様、P.G.C.D.社員が参加。お皿や置物、靴とジャンルに富んだ思い出のものが集まりました。
まずは、皆様の壊れたもののエピソードや思い出をお伺いしました。
長年P.G.C.D.をご愛用いただいているお客様は、ル・クルーゼのお皿をお持ちになられました。
料理が好きで10年前にル・クルーゼに出会って、少し高価だが飽きないし丈夫なので、10年以上も使っているそう。ル・クルーゼもフランス、P.G.C.D.もフランス、どちらも飽きないし心を惹かれるという共通点を感じているので、今日は持ってきましたとのお話をお伺いしました。
20枚あるうちの1枚だけ欠けてしまったけれど、何の料理でも合うので気に入っているとのこと。
もう一つの小皿は、お子様が小さい頃に通っていた幼児教室のイベントでいただいたもの。子供が可愛かった頃の思い出が残っているので捨てられずに数年間取っていたとの、ご家族との素敵なエピソードをいただきました。
小学生のお嬢様と親子でご参加いただいたお客様は、以前に竹村さんの修復シリーズの作品をご購入されたこともあり、竹村氏とお話も弾んでいらっしゃいました。
そんなお二人がお持ちになったものは、親子で川越に遊びに行った際に、駄菓子屋さんで購入した小さな小鳥の置物。振動でしっぽや左右の羽がかわいく揺れるのがとても気に入っていたそうです。電子レンジの上に置いていたので、扉を開けるたびに可愛く揺れるのをいつも見ていたとのこと。
その片方の羽根が折れてしまったけど、壊してしまったお母様も、お嬢様もお気に入りだったので、捨てられずに取ってあったそうです。
今回、親子で仲良く作品作りをされていたのがとても印象的でした。
竹村氏のファンのお客様は、大学や専門学校で美術を学ばれている方で、竹村氏と共通の恩師もいらっしゃったようで話が盛り上がっていました。
お餅になられたのは、高校時代に履き潰したローファー。靴のかかと部分に大きく穴が空き、靴底も穴が開くほどすり減っていました。
絵を描く授業でローファーを描こうとして見た時、こんなにもすり減っているのかと初めて気づいて恥ずかしかったったけれど、先生から「3年間のいろんな頑張りが詰まっているんだから良いじゃないか」と言われて愛おしく感じるようになり捨てられなかったとの素敵なエピソードをお話されました。
進行役兼参加者としてP.G.C.D.のスタッフも参加。
今回持参した器は、以前陶芸にはまっていたことがあり、自宅の器は全て自分で焼いたものだったけれど、その中でも一番のお気に入りを7月に落として割ってしまったもの。
当時陶芸は母親と一緒に毎週趣味で行っていて、両親が営んでいた天ぷら屋さんで使う器も全て二人で焼いていたので、この器を割った瞬間、お店のことや母親との思い出が走馬灯のように流れました。金継ぎをしようかと保管をしていましたが、割れ方も激しいので、違う形で残せたらと思い、今回参加をさせていただきました。
皆様、本当に真剣に布と糸を選び、一針一針思いを込めて作品を縫われていました。それぞれの大切な思い出が別の形に生まれ変わった際には、「とても嬉しい!」と素敵な笑顔でお話されていたのがとても印象的でした。
また、ワークショップが始まる前や終わった後も、竹村氏と一緒に展示中のアートもゆっくりと見ていただくことができて、素敵なお時間を過ごしていただけました。
アートワークショップは、実際にアーティストの方とお会いしてお話を伺いながら、アートに触れ、自分だけの作品をつくることができる素敵な時間となっております。
普段あまりアートに触れていらっしゃらない方でも、気軽に体験いただけます。そして、自分では知らなかった発見や新しい出会いも生まれる場所をご提供していきたいと思っております。
今後もP.G.C.D.では素敵なアーティストの方々の個展を開催する予定です。
個展だけではなく、トークセッションやアートワークショップなど様々なイベントも開催いたしますので、ぜひ足をお運びいただければ幸いです。
竹村 京「白の時間〜Time of white〜」▼
P.G.C.D.公式サイトはこちら▼