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春夏の保湿は、洗いすぎや落としすぎに注意!【日焼け止め、メイク落としなど外的刺激との付き合い方がポイントに】

医療法人社団Clara理事長 メンズクララ院長 神林 由香×P.G.C.D.代表 野田 泰平[後編]

前編では、「敏感」というテーマでお送りしたメンズクララ院長の神林由香先生とP.G.C.D.野田泰平の対談。今回は、「春夏の保湿」というテーマで語ります。

夏は湿度が高く汗もかくため、保湿はおざなりになりがちですが、日焼け止めやクレンジング、クーラーなど、外的刺激によって乾燥がひどくなる場合も。だからと言って、紫外線を避け続けるのも夏の楽しみが減ってしまいます。では、どうすればいいのでしょうか。二人の対談からひも解いていきましょう。

■対談参加者プロフィール
医療法人社団Clara理事長
メンズクララ院長
神林 由香
日本皮膚科学会正会員。日本美容皮膚科学会会員。日本先進医療医師会会員。日本抗加齢学会正会員。メンズヘルス医学会会員。美容外科専門医(JSAS)。
東京大学理科2類中退後、2011年香川大学医学部卒。
東京女子医科大学病院初期研修、東京女子医科大学病皮膚科入局、2016年大手美容外科都内分院スキンクリニック院長などを経て現職。
https://mens-clara.com/staff/

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株式会社 ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン 代表取締役CEO
野田 泰平
1979年福岡県生まれ。2010年に株式会社P.G.C.D. JAPANを設立。「年齢を美しさに変える人」を増やすため、スキンケア・スカルプケアの商品を開発、販売。また、2019年にはホールディングス会社である株式会社JBI GROUPを設立。企業理念『Pay forward』を掲げ、“世界を幸せにする人を増やす”という使命のもと、サスティナブルな商品、サスティナブルな事業を創造し、社会と未来に貢献する。

バリア機能が低下する夏ならではの要因に注意を

テーマは「保湿」。夏ならではの外的刺激とは

野田泰平(以下、野田)
神林先生との対談の前半は「敏感」というテーマでお送りしました。敏感肌とひとことで言っても、アレルギーや乾燥、吹き出物など事象は異なり、原因や対処も違う。また、ケアするときにはしっかりケアをしないと、戻ろうとしている肌の邪魔をして治りが遅くなるのでしたよね。

神林由香(以下、神林)
私自身も、考えながら話させていただき、考えを整理できました。

野田
改めて、肌の状態は体調や食べ物などによって変わってくるのですね。ライフスタイル――つまり時間の使い方が肌に現れてくる。

神林
前回お話したように、人種といった生まれつきはありますが、環境要素も大きいです。日本人が海外旅行に行くと、場所によっては肌がどんどん乾燥していく。それは、その場所に適した肌ではないから。

野田
自分の肌の性質や状態を見極めるのが大事ですね。

後半である今回は、これからの春夏における保湿の話をしたいと思います。汗をたくさんかく時期ならではの考え方はあるのでしょうか。

神林
基本的には、年間を通して単純な洗顔と単純な保湿はしたほうがいいでしょう。それに加え、乾燥の程度に応じて、保湿の度合いを強めたり弱めたりすれば十分です。

冬は乾燥しやすい季節ですが、春夏は個人差があり、一概には言えません。保湿ケアが全く必要のない人もいます。例えば、小さな子どもや肌のきれいな男性など、「顔を洗ったこともないし、保湿をしたこともない」という人もいます。それで調子がよければ、変える必要はないでしょう。

ただし、多くの方はケアが必要です。本来の肌質に加えて、夏はレジャーで日焼け止めをしっかり塗る機会も多い。日焼け止めやそれを落とすクレンジングは肌にとって刺激が強いものですが、紫外線をたくさん浴びるよりは日焼け止めを塗ったほうがいいとは思います。日焼け止めを塗ったり、クレンジングしたりするときに手で触るのも刺激になります。

それらの外的刺激によって、肌のバリア機能が低下しやすいので、その時にはしっかり保湿したほうがいいでしょう。

「紫外線」「日焼け止め」「クレンジング」など外的刺激との付き合い方

洗いすぎや顔をこするも乾燥の要因に

野田
保湿というテーマは、乾燥の話でもありますね。夏は汗が出るから潤っていると思いがちですが、ケアとしての保湿も必要でしょうか。

神林
肌の状態を保つために、汗をかくことが大事なのですが、多くの方は、それだけでは十分ではありません。

野田
汗をかいても保湿は必要ですよね。

神林
そうですね。汗を放っておくと、雑菌が繁殖して汚れになることがあります。粒で汗をかくような場合は、ほこりや外部の汚れと一緒に肌に付いてしまうので、1日に1~2回は洗顔で流す必要があります。流すと一般的には保湿成分が落ちるので、基本的なものを少量補う、という考え方です。

野田
春夏の保湿を考えるときに注意すべきなのが「洗いすぎ」ではないでしょうか。日本人は洗うのが大好きで、オイルクレンジングで化粧を落とし、アイメイク用のクレンジングで目の周りを落とし、最後に洗顔する、というステップで3回も洗う人もいます。たくさんこすったり洗ったりしているんですよね。

神林
こするのは肌への外的刺激のひとつなので、好ましくはありません。

野田
それにより、乾燥するような肌を自ら招いているのではないでしょうか。それも、春夏に保湿が必要な要因のひとつだと思います。

神林
夏は日焼け止めを付ける方が多いと思いますが、強い日焼け止めは強いクレンジングでないと落ちない。例えば、夏のレジャーで南の島に行くとして、1週間毎日のように「塗って、きれいに落とす」を繰り返していたら大きなダメージになります。その場合、1週間程度なら、毎日しっかり落とさなくても塗り重ねて過ごし、旅行が終わってからしっかり落とすほうがいい場合もあります。

私も先日、南の方に行きましたが、毎日しっかり落とすことにはこだわらず、塗り重ねて過ごしていました。

野田
日焼け止めの選び方も難しいですよね。必ずしも、SPFの高い商品が普段の生活で必要というわけではないでしょう。強い紫外線を受けるレジャーのときと、短い時間外に出るだけのときで同じものを付けていたら、普段から刺激が強くなってしまいます。また、汗をかいたり、食事をしたりして、拭いてしまう場合もありますし……。

神林
SPFで緻密に計算した理論も、手で顔をぬぐったらその数値は台無し。さらに、SPFを計測する実験では、かなり分厚く塗っています。私たちは普段使いでスーッと薄く塗ると思いますが、計測値と同じ効果を得るためには、“3度塗り”くらいしなくてはなりません。

そういった日焼け止めの現実があると、たくさん塗って、さらに定期的に塗りなおすしかない。紫外線を浴びるような生活を送る方は、紫外線と日焼け止めという外的刺激がある中で、模索するしかないのでしょう。

野田
海のレジャーや山登り、ゴルフなど、紫外線を浴びるとはいえ、まずは楽しむことが重要ですよね。「絶対に日焼けしたくない」が第一になってしまうと、QoL(Quality of Life:人生の質)を考えたときに疑問が残ります。

ストレスで肌の状態も変わるでしょうから、楽しむときは楽しむ、食べるときは食べる、遊びたいときは遊ぶ、というメリハリを付けることも、肌自体も基本的には心地いい状態になるのではないかと思います。

それでも刺激を受けてしまった部分は、一定期間集中してケアしてあげるのがいいのではないでしょうか。

神林
そうなると、肌だけでなく、人生すべてをバランスで考えるということですね。60代くらいの方の肌を見ると、これまでどう過ごしてきたかがわかります。紫外線をたくさん浴びた方は、シミやしわ、キメなどに出てきますし、よく笑ってきた人は、表情の癖でしわができ、そういう肌になります。その人の生き方が肌に刻まれるんですね。

「インナードライ」というあいまいな言葉に惑わされないで

あいまいな言葉「インナードライ」

野田
春夏になると「インナードライ」という言葉をよく聞きます。先生はどのように捉えていますか?

神林
「インナードライ」も、前回の「敏感肌」同様にすごくあいまいな表現です。乾燥しているけど皮脂が出る、という状態をそのように表現しているのだと思います。皮脂が多いからと言って、潤っているわけではなく、セラミドや天然保湿成分が少なくなり、べとっとするのにかさかさする状態なのでしょう。

ただ、それを「インナードライ」と呼ぶのではなく、「皮脂が多くてセラミドが足りていない」と、起きている状態を分析したほうがいいでしょうね。

野田
インナードライは、どういった原因が考えられるのでしょうか?

神林
紫外線やストレス、食事、合わないスキンケア、海外旅行、生活の変化など、いろいろと考えられますが、実のところ、原因の特定は難しい。皮膚科医の考え方では、原因を追求するより、皮膚に起きている現象を分析して対処するほうを優先します。原因を突き止めることも大事ですが、とりあえずは先に対処して改善してから、原因をじっくり考えていくという順番です。

野田
夏は、それ以外に冷房も外的刺激ですよね。

神林
確かにそうですね。冷房の効いた部屋はとても乾燥します。紫外線や日焼け止め、冷房と、夏の肌はとても過酷な状況にさらされていますね。

野田
肌も混乱しますよね。暑いのか寒いのか……。いずれにしても、現象を分けて考え、必要な対処を施すということですね。

神林
「インナードライだから」と、便利な言葉にまとめて終わりにしないことが大事です。

生き方が変わるとスキンケアも変わる

「どう生きたいのか」がスキンケアに現れる

野田
自分の生き方が肌に出るというお話が印象的でした。「自分はこう生きていきたい」という考え方が、スキンケアにも現れるんですね。

神林
私も過去には、紫外線を恐れて黒ずくめの格好をしていたこともあります。ところがそこで、「私の人生って何だろう?」と思い、楽しむことも大事にして、ある程度肌を出して日焼け止めを塗るようになりました。

野田
生き方が変わって、スキンケアも変わったんですね。

神林
年齢もあるとは思いますが、前よりは肝斑やくすみが出やすくなったとは思います。生活環境が変わったのも大きいでしょう。ただ、それも含めての人生です。「スキンケアは人生」と言えますね。

野田
乾燥が気になったり、春夏のケアに迷ったりもするかもしれませんが、自分がどんなスキンケアをしたいのか、正しい目で判断していただきたいです。


外的刺激が肌によくないとわかっていても、紫外線を防ぐために日焼け止めを塗り、それ落とすためにクレンジングをする。春夏のスキンケアには明確な答えがなく、自分の肌の状態とバランスを考えて調整していくしかないようです。肌だけでなく、自分の楽しみや大切にしているものも含めてバランスを取り、人生を豊かにしていきたいですね。

執筆:栃尾 江美

対談前編はこちら▼

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