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アートが生まれる瞬間を知る。【アーティスト大和 美緒が誘う作品世界。】

Respect the Artist 大和 美緒×P.G.C.D.代表 野田 泰平[トークセッション アフターレポート(前編)]

いったいこれはなんだろう? 現代アートを目にしたときに押し寄せる「なぜ」。
その秘密の鍵を知ることで「なぜ」の扉が開き、私たちは新しい世界へと誘われていく。
2023年1月27日にアーティスト大和 美緒氏とP.G.C.D.代表 野田 泰平による「美」と「アート」をテーマにしたトークセッションを行いました。

アーティストとしての大和 美緒氏の軌跡を語っていただくとともに、起業家としての野田の視点を交えて、アーティストとアートがいかにして生まれていくのかが見えてきます。
それでは一緒に、大和美緒氏のアートをめぐる秘密の扉を開きましょう。

■登壇者プロフィール
Respect the Artist
大和 美緒
1990年滋賀生まれ。2015年京都造形芸術大学大学院総合造形領域修了。
油彩による点の集積やインクによる線の束などから構成されるRepetitionシリーズを発展させる。純然とした動作の繰り返しの果てに立ち現れる画面は有機的で、時間の経過を内包しながら、自然の有り様やシステムと、人間の身体や感性との関わり合いを可視化する。
主な展覧会に「KYOTO STEAM 2020」 京都市京セラ美術館 (2020) 、「project N」東京オペラシティーアートギャラリー(2019)など。

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株式会社 ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン
代表取締役CEO
野田 泰平
1979年福岡県生まれ。2010年に株式会社P.G.C.D. JAPANを設立。「年齢を美しさに変える人」を増やすため、スキンケア・スカルプケアの商品を開発、販売。また、2019年にはホールディングス会社である株式会社JBI GROUPを設立。企業理念『Pay forward』を掲げ、“世界を幸せにする人を増やす”という使命のもと、サスティナブルな商品、サスティナブルな事業を創造し、社会と未来に貢献する。

<Introduction>届けたいのは『美学の発見』。P.G.C.D.代表 野田の新ウェブサイトとアートギャラリーに寄せる想い。

P.G.C.D.代表 野田 泰平(以下、P.G.C.D.野田)
皆さま、今日はお忙しい中お越しいただきありがとうございます。本日はアーティストである大和さんのお話を直接伺っていただければと思っております。

アートを発信する新WEBサイトとJBIG meets Art galleryへの想いとは?

展覧会への想いであったり、なんでこの形になってるんだろうとか…。捉え方や色も、10人アーティストがいれば、10人それぞれアートへの向き合い方や描き方も違うと思います。今日はそんなことを皆さんにも聞いて、感じていただきながら、それぞれのアートの好き嫌いや自分の好み、自分のアートとの向き合い方などを何か見つけて帰っていただければと思っております。
ではさっそく大和さん、よろしくお願いいたします。

大和 美緒(以下敬称略。大和)
アーティストの大和美緒です。京都を拠点に制作活動をしています。
私が大学を卒業したのが7年前で、私が大学を卒業するころというのは、日本で作家を本業に活動してゆける人がほとんどいなくて、どういう状態でやっていいかわからないという時期だったんですね

でも、少しずつ日本でアートを買ってくださる方が増えてきて、今では大学を卒業して作品を作ることで作家活動ができる人が増えてきました。私もその内の一人です。

今日は本当に貴重な機会をいただいてありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

大和 美緒氏が語る作品の世界。

■大和 美緒氏のアートの世界が始まる「RED DOT」シリーズ

大和:
今日はスライドをご覧いただきながら、普段私が作品をどの様に考えて作っているのかというお話と、去年の2月にメキシコの財団にお招きいただいて、6週間レジデンスという滞在制作を経験してきたので、そのお話をさせていただきます。

まずは私の作品の紹介をさせて頂きます。

この作品は「RED DOT」といってシリーズで制作している作品です。
キャンバスに油絵具で、小さな赤い点々を一つずつ描くことで作っています。

描き方に簡単なルールを決めていて、一つの点を描いたら、その隣に位置や、大きさを引き継ぎながら次の点を描いていくというルールを決めています。一つずつの点を並べて描いていくのですが、位置と大きさが少しずつ変化する、その様子を引き継ぐことで作品が出来上がっています。実際にこれが手元で描いている様子です。

緻密な作業から生まれる「RED DOT」シリーズ

野田:
昔からこんなに細かく描けていたのですか?それとも毎年、毎年このスキルが上がっていくのですか?

大和:
最初の方が細かいかもしれません。自分ができる本当の限界に挑戦したいと思って。

作品の溢れる生命力に野田が大絶賛!

大和:
赤い色を選んでいる理由は、生命の存在について表現するのに、最も相応しい色じゃないかなと思って作っています。
細かな手仕事の集まり、生命の存在、時間の流れを表現できないかなと思っています。

制作のために高所作業車運転免許を取得!圧巻のホテルエントランス作品

野田:
アーティストの名和晃平さんが、大和さんの大学、大学院時代の教授で、大和さんもゼミに入られていたんですよね。
僕も名和さんの京都のアトリエに行きましたけど、すごいあそこは何なんだろうっていうぐらいの研究スタジオになっていますよね。素材にこだわったり、描くという行為に対する研究探求はすごいなって。僕はいつも驚いてるんですけど、やっぱり大和さんもその血を受け継いでるというか、その学び、大きく受け継いでる部分もあるんじゃないですか。

僕が一番感動したのが『なぜなにを描くんだ』っていう話。何を自分が書いていいのか分からなくなって、大和さんが一回ご実家に戻られたという話が、僕は感動的だったんですけれど。作品のきっかけの話ですからね、是非教えてくれますか。

大和:
そうですね。名和さんがSANDWICHというスタジオを作られた年に、ちょうどアシスタントに入らせていただいて。一緒に手伝いながら自分もその現場で制作を学んでいくっていう体験をさせていただきました。当時、19歳ぐらいですかね。

そこから大学院に進学して、自分の表現をしていこうという時に、自分が何を作りたいのか、作りたい気持ちはあるけれど、実際に何を作っていいかわからないという模索していた時期がありまして。
ゼミで作品を作るときは作品のプランを考えて、そのプランを先生に相談して、どうやって作っていくかとか、こうしたらもっと良くなるんじゃないかっていう話をするんですけれど…。私の先生はとても厳しくて(笑) 出す案全て全然違うみたいな。

一回自分のバックグラウンドに立ち戻ってみようと思って。
実家が滋賀県で蘭農園をしているんですけれども、そこで、小さい頃もいろいろ遊んだりとか、過ごす時間が多かったので、自分の原風景に立ち帰って考えられないかと思ったことがありまして。

実家の欄農園で原点回帰。大和氏のアートが生まれた瞬間とは?

野田:
やっぱりこの原点回帰の話って、(JBIG meets Art galleryのきっかけとなった)京都芸術大学の椿さんが僕たち起業家にぜひアートを買いに行ってくださいっていう話をしたことと繋がっていて。

事業とか新しく起業をする時っていうのは、なんか人の真似事をしても絶対うまくいかないですよね。なんか儲かるからと思って始めてもどこか苦しくなったときに逃げ出しちゃう。続かなくなる。

でも、やっぱりその自分がなぜその絵を描くのか、自分がなぜこの事業をやるのか、自分はなぜ生きているのかであったり、なぜそれを行うのかっていうところに悩みながらも、向き合いながら本質的にそこと対峙していく。
そこから何か生み出したものは、たくさんの苦労があるけど逃げ出さないし、乗り越えられるし、その思いがあるから、仲間が集まるし、ファンが集まる。

逆にそこに思いがなかったり、そこに対する自分の信念がなかったら、やっぱり人が共感もしてくれなければ集まってもこない。多分そこが椿さんは、アーティストと起業家もある意味同じ括りなんだろうと、僕たち起業家に声をかけてくださったんじゃないかなって。

こういう話って僕もすごい共感しますし、それがあったからこそ今の大和さんに繋がっているんですよね。
自分に深く向き合っていくことで、出てくる表現っていうのが素敵だと思います。

■P.G.C.D.の記念パッケージにも登場の「BREATH」

大和:
ありがとうございます。
昔、野田さんに一番最初にご覧いただいたのが、このシリーズの作品だったと思うのですが、これは「BREATH」というタイトルの作品です。呼吸の力で描く絵画というコンセプトです。

どういうふうに描いているかというと、赤い絵の具を柔らかく溶いてシャボン玉のように膨らませていきます。呼吸の力で球体になった絵具が、キャンバスの上ではじけた時にその作品にその呼吸の痕跡が残るという作品です。近づいてみると、このように見えます。

シャボン玉の球体の中で絵具の顔料がこうふわふわと流れていて、その流れがそのまま、例えば写真のようにキャンバスに定着するように作っています。
一つずつ実際に流れているものをそのまま置いているので、同じ形ができることがない。同じ流れが起こることがないので、一つずつが違います。一つとして同じ瞬間がありません。

野田:
つくっている映像だけでもアートですね。
本当にあのシャボン玉を作る道具でやってるんですね。

大和:
ストローとか色々な道具を試してみたんですけど、これが一番安定して作れますし、すごく良く出来てるなあと。これも絵の具の粘度とか、その顔料の配分とか、そういうものを調整しています。鮮明な絵の具の流れを残すこと、どうやったらできるのかっていうのをいろいろ実験しながらやっていて…。

野田:
全部一発勝負じゃないですか。全部ある程度の大きさをそろえる。それをこの息の強さだけでコントロールするのはすごいなって思います。これはどういうきっかけでつくり始めたんですか?

呼吸の痕跡を描く「BREATH」が生まれたきっかけとは?

野田:
うちでもワークショップを開いてくださるということで、明日(2023年1月28日)開催するのですが、すぐに満席になりました。
やはり皆さん制作風景の動画を見てすごい、やってみたいと思ったんでしょうね。
すごいエモーショナルですよね。赤というファッショナブルなカラーを使ってるっていうこともあるんだけど、誰もが出来ることで、こういうアートを作ってる。でもそのレベルがすごい高いものでやられてるのが、本当に魅了するんだと思います。

大和:
ありがとうございます。嬉しいです。ワークショップでは、最初の失敗した頃のうまくいってないときから、どうやったらちょっとでも良く見えるかっていう試行錯誤を重ねた制作ノートを見ていただきながら、やれたらと思っています。

野田:
贅沢!あのここで言う話じゃないんだけど、自分も参加したくて予定空けてたんですよ。
そしたらすぐ予約が埋まってキャンセル待ちの状態になってしまったので、結局参加できなくて…(笑)
素晴らしい機会だと思いますね。

大和:
ありがとうございます。
また、京都のアトリエにお越しの機会があればぜひ!

(後編に続く)


緻密で圧巻の大和 美緒氏のアートたちは、お菓子の絞り機やシャボン玉、高所作業者運転免許と、私たちの知っているものからつくられていて驚きです。
知っているもの、自分たちにもできてしまいそうな作業から生み出される作品が昇華されていく過程にアートの秘密を垣間見ることができたのではないでしょうか。

後編では、大和氏が昨年2月に経験したメキシコでの6週間の滞在制作についてじっくり語っていただきます!

展覧会は3月31日(金)まで開催中です。トークセッションでの大和氏の魅力と作品の制作秘話という鍵を手に、ぜひ皆さま実際の作品を観に足を運んでいただけたら幸いです。

展覧会開催情報

ART PROJECT with P.G.C.D.
Respect the Artist
大和 美緒

「呼吸する星」

期間: 2023年1月14日(土)〜3月31日(金)まで
場所: JBIG meets art gallery
107-0062 東京都港区南青山 7-4-2 アトリウム青山
※完全予約制・入場無料
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